ドライブレコーダーを正しく使えていますか? 装着ルールや安全指導のヒントについて

■ドライブレコーダーを正しく使えていますか?装着ルールと安全指導のヒント


運送業・旅客業など、車両運転を伴う業務では「無事に届ける」ことが何より重要です。それは、荷物や乗客の安全だけでなく、ドライバー自身の安全も意味します。
どんなに経験豊富なドライバーでも、ヒューマンエラーによる事故のリスクはゼロではありません。そんな時、ドライブレコーダーは事故状況の可視化と記録という面で大きな役割を果たします。
本記事では、ドライブレコーダーの装着ルール、活用メリット、安全指導のヒントについてご紹介します。

 

■事業用車両における事故とその傾向


  • 重大事故の発生件数
    国土交通省「自動車運送事業用自動車事故統計年報(令和元年)」によると、事業用車両の重大事故は5,076件にのぼります。車種別では乗合バスが最も多く、次いでトラック、ハイヤー・タクシーが続いています。
  • 高速道路上での事故
    高速道路や自動車専用道路に限って見ると、事故の過半数はトラックによるものです。長距離運行や過密スケジュールによる過労・注意力低下が一因と考えられます。
  • 事故原因
    事故原因として多いのは「車両故障」が最多で、次に衝突、健康起因、転覆などが続きます。運行前点検の徹底や健康管理と同様に、ドライブレコーダーの活用が予防対策として期待されます。

 

■ドライブレコーダー導入の現状と効果


  • 装着率の推移
    公益社団法人 全日本トラック協会の平成26年度調査では、ドライブレコーダーの装着率は74.4%、8t以上の大型車では78.2%に達しています。近年ではさらに普及が進み、現在では中小事業者にも広く導入されています。
  • 導入目的
    最も多い目的は「交通事故防止」(87.6%)。続いて「安全運転指導の資料活用」(82.9%)が挙げられており、多くの事業者が日常的に映像を活用しています。
  • 導入による効果
    ドライブレコーダー導入後に急ブレーキや急ハンドルなど危険挙動の減少を実感した事業所は7割にのぼります。また、録画映像を基にした安全指導に活用している企業も多数。事故対応の迅速化や証拠確保にも大きく貢献しています。

 

■装着ルールと活用法を正しく理解


  • 装着位置のルール
    ドライブレコーダーの取り付け位置には明確な保安基準があります。「フロントガラス上部の20%以内」「ルームミラーの陰になる範囲」など、ドライバーの視界を妨げない場所に設置する必要があります。
  • 映像を活用した安全指導
    単なる事故記録としてではなく、ヒヤリハットの映像を収集・分析することで、個人別の運転傾向が把握でき、より的確な指導が可能になります。
    映像を活用した教育は、ドライバー自身の安全意識を高め、事故の予防に直結します。
  • データ活用で教育・研修にも活用
    映像データを蓄積・分析し、社内研修や定期教育に反映することで、安全文化の定着が進みます。AI解析を活用した危険運転自動抽出なども導入が進んでいます。

 

■まとめ


ドライブレコーダーは今や、トラック・バス・タクシーなど事業用車両において欠かせない安全装備です。
装着位置などの法令を遵守し、正しく運用することが、事故防止やドライバー指導に直結します。
単なる「万が一の証拠」ではなく、「日常の安全を支えるツール」として積極的に活用し、安全で持続可能な運行体制を築いていきましょう。