2026年度に備えよう!自動点呼・遠隔点呼で活用できる補助金完全ガイド

はじめに:点呼のデジタル化が加速している

運送業界では、2024年問題への対応や人手不足の深刻化を背景に、点呼業務のデジタル化が急速に進んでいます。2022年4月の遠隔点呼制度化、2022年12月の業務後自動点呼解禁に続き、2025年8月8日には業務前自動点呼が本格解禁されました。

これらの新しい点呼制度の導入を支援するため、国や業界団体から手厚い補助金・助成金制度が用意されています。2026年度も同様の支援が継続される可能性が高いため、今のうちから制度を理解し、導入計画を立てておくことが重要です。

本記事では、自動点呼・遠隔点呼・IT点呼に関する補助金制度を徹底解説し、2026年度に向けた準備のポイントをお伝えします。

点呼制度の種類と違いを理解しよう

補助金の説明に入る前に、まず各点呼制度の違いを整理しましょう。

点呼制度の比較表

点呼種類 実施場所 主な要件 導入難易度
対面点呼 同一営業所内 運行管理者と運転者が対面 ★☆☆☆☆
IT点呼 同一事業者の営業所間 ・Gマーク認定
・営業所開設3年以上
・3年間無事故無違反
★★☆☆☆
遠隔点呼 異なる営業所間(広範囲) ・高度な機器・システム
・生体認証機能
・Gマーク不要
★★★☆☆
業務後自動点呼 営業所内(無人対応可) ・国土交通省認定機器
・運輸支局への届出
★★★★☆
業務前自動点呼
※2025年8月解禁
営業所内(無人対応可) ・国土交通省認定機器
・運輸支局への届出
・より高度な確認機能
★★★★★

📢 2025年8月の重要な制度変更

業務前自動点呼が本格解禁されました!

令和7年8月8日付けで自動点呼機器の範囲が拡大され、業務前(乗務前)の自動点呼が認められるようになりました。これにより、運行管理者不在でも早朝・深夜の点呼が可能となり、労務負担の大幅軽減が期待されています。

IT点呼と遠隔点呼の主な違い

項目 IT点呼 遠隔点呼
実施可能な範囲 同一事業者の営業所間のみ 異なる事業者間でも可能
※事業者間遠隔点呼
Gマーク要件 必要 不要
営業所開設年数 3年以上 制限なし
事故歴要件 過去3年間無事故 制限なし
機器要件 比較的簡易 高度(生体認証等)
導入コスト 低~中 中~高

2025年度に利用できる補助金・助成金制度

1. 自動点呼機器・DX導入促進助成事業(全日本トラック協会)

制度の特徴

全日本トラック協会が実施する、自動点呼機器導入による運行管理の効率化と安全性向上を目的とした助成事業です。業務前自動点呼の解禁により、2025年度は助成対象範囲が拡大されています。

助成対象者

  • 各都道府県トラック協会の会員事業者
  • 中小企業基本法による中小企業者
    • 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社
    • 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

助成対象機器・システム

  • 業務後自動点呼機器(2022年12月~)
  • 業務前自動点呼機器(2025年8月8日~)NEW!
  • 国土交通省の認定を受けたもの
  • 令和7年4月1日以降に契約もしくは利用開始したもの

助成要件

⚠️ 必須条件

  • 国土交通省に届出をして受理された「自動点呼の実施にかかる届出書」の写し(受付印があるもの)の添付が必須
  • 届出は機器使用予定日の10日前までに管轄の運輸支局長へ提出

助成額

事業者区分 助成上限額 対象台数
一般会員企業 10万円 1台
Gマーク保有事業所 20万円 2台
  • 対象となる自動点呼機器の導入費用(周辺機器、セットアップ費用及び契約期間中のサービス利用料を含む)

申請期間

各都道府県トラック協会により異なります。多くの協会で令和7年4月1日~令和8年2月27日を申請期間としています。

詳細は各都道府県トラック協会にお問い合わせください。

こんな事業者におすすめ

  • 早朝・深夜の点呼業務を自動化したい
  • 運行管理者の負担を軽減したい
  • 複数の営業所で統一した点呼管理を実現したい
  • 点呼記録の自動保存・管理を効率化したい

2. 過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援(国土交通省)

制度の特徴

国土交通省が実施する、過労運転防止に資する機器の導入支援を目的とした補助金制度です。IT点呼・遠隔点呼・自動点呼の機器が対象となります。

補助対象機器

  1. ITを活用した遠隔地における点呼機器(IT点呼機器)
  2. 遠隔点呼機器
  3. 自動点呼機器(業務前・業務後両方)
  4. 運行中における運転者の疲労状態を測定する機器
  5. 休息期間における運転者の睡眠状態等を測定する機器
  6. 運行中の運行管理機器

⚠️ 重要:対象機器の認定について

補助金の対象となる機器は、国土交通省が選定した機器のみです。導入を検討している機器が対象機器一覧に掲載されているか、必ず事前に確認してください。

補助対象者

  • 自動車運送事業者
  • リース事業者(運送事業者へリースする場合)

補助内容

  • 補助率:機器取得に要する経費の1/2
  • 補助上限額:事業者あたり80万円

申請期間(2025年度)

令和7年7月31日(木)10:00~令和8年1月30日(金)17:00

※予算消化状況に注意!

令和7年11月10日時点で予算の上限(100%)に達し、受付終了となりました。令和8年度(2026年度)の公募開始を待つ必要があります。

申請方法

詳細は、被害者保護増進等事業費補助金ポータルサイトまたは国土交通省にご確認ください。

問い合わせ先

TOPPAN株式会社 令和7年度被害者保護増進等事業費補助金事務局
電話:03-4446-4346(平日9:00~18:00)

こんな事業者におすすめ

  • IT点呼・遠隔点呼・自動点呼をまとめて導入したい
  • 高額な機器を導入予定で、補助額を最大化したい
  • 過労運転防止に総合的に取り組みたい

3. 安全装置等導入促進助成事業(全日本トラック協会)

制度の特徴

IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器などの導入を支援する助成制度です。

助成対象機器

  • IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器
  • 測定結果を端末(営業所設置)に自動送信できるもの

助成対象者

  • Gマーク認定事業所に限定

助成内容

  • 補助率:機器取得に要する経費の1/2
  • 補助上限額:1台あたり2万円
  • 対象台数:事業者あたり最大5台

申請期間

各都道府県トラック協会により異なります。詳細は全日本トラック協会または最寄りの各都道府県トラック協会にご確認ください。

こんな事業者におすすめ

  • IT点呼・遠隔点呼用のアルコール検知器を複数台導入したい
  • Gマーク認定を取得済み
  • 点呼データの一元管理を実現したい

4. IT導入補助金2025(経済産業省)

制度の特徴

点呼システムと連携する運行管理システムや業務ソフトの導入を幅広く支援します。点呼機器単体だけでなく、総合的なIT化に活用できます。

補助内容

通常枠
  • 補助額:5万円~450万円
  • 補助率:1/2(条件付きで2/3)
インボイス枠
  • 補助額(ソフト):最大350万円
  • 補助率:50万円以下は最大3/4(小規模事業者は4/5)

申請期間(2025年度)

締切 期日
第1次締切 2025年5月12日(月)
第2次締切 2025年6月16日(月)
第3次締切 2025年7月18日(金)

詳細はIT導入補助金2025公式サイトをご確認ください。

こんな事業者におすすめ

  • 点呼システムと運行管理システムを統合したい
  • 総合的なDX推進を検討している
  • インボイス対応も同時に進めたい

5. 都道府県トラック協会の独自助成金

各都道府県のトラック協会が独自に実施している助成金制度もあります。

助成内容の例

機器種別 助成上限額の例
アルコール検知器(携帯型) 1~2万円/台
アルコール検知器(据置型) 3~5万円/台
血圧計 5~6万円/台
後方視野確認支援装置 2~4万円/台

⚠️ 重要な注意点

国の補助金を受ける機器は、都道府県トラック協会の助成対象外となる場合があります。

重複受給の可否は各協会により異なりますので、必ず事前に確認してください。

申請方法

各都道府県トラック協会にお問い合わせください。

自社に最適な点呼制度と補助金の選び方

ステップ1:自社の課題を明確化する

課題チェックリスト

  • ☐ 早朝・深夜の点呼で運行管理者の負担が大きい → 自動点呼
  • ☐ 複数の営業所間で点呼を実施したい → 遠隔点呼またはIT点呼
  • ☐ Gマーク認定を取得している → IT点呼
  • ☐ Gマーク未取得または新規営業所 → 遠隔点呼
  • ☐ 他社との共同配送で点呼が必要 → 事業者間遠隔点呼
  • ☐ 点呼記録の管理・保管業務を効率化したい → すべての点呼システム

ステップ2:補助金の組み合わせを検討する

導入内容 活用できる補助金 合計補助額(目安)
自動点呼機器のみ 自動点呼機器・DX導入促進助成事業 最大20万円
遠隔点呼機器のみ 過労運転防止支援 最大80万円
点呼機器+携帯型検知器 ①自動点呼助成
②安全装置等助成
最大30万円
点呼システム+運行管理システム IT導入補助金 最大450万円

❗重複受給の制限について

同一の機器・経費に対して、複数の国の補助金を重複して受け取ることはできません。

ただし、異なる機器や異なる目的であれば、複数の補助金を併用できる場合があります。詳細は各補助金の窓口にご確認ください。

ステップ3:導入スケジュールを立てる

  1. 補助金申請(2~3ヶ月前)
    • 申請書類の準備
    • 見積書の取得
    • 申請書の提出
  2. 交付決定待ち(1~2ヶ月)
    • 審査結果の通知
    • 交付決定通知の受領
  3. 機器発注・導入(1~2ヶ月)
    • 機器の発注
    • 設置・セットアップ
    • 運輸支局への届出(自動点呼の場合)
  4. 運用開始・報告
    • 点呼の実施開始
    • 実績報告書の提出
    • 補助金の受領

補助金申請前に準備すべき5つのポイント

1. 対象機器の確認

  • 国土交通省の認定機器一覧に掲載されているか
  • 補助金の対象機器として登録されているか
  • 自社の運用要件を満たしているか

2. 要件の確認

  • IT点呼:Gマーク認定、営業所開設3年以上、3年間無事故
  • 遠隔点呼:高度な機器要件(生体認証等)
  • 自動点呼:運輸支局への事前届出(使用予定日の10日前まで)

3. 必要書類の準備

  • 事業者の登記簿謄本
  • 運送事業許可証の写し
  • 見積書(対象機器・システム)
  • Gマーク認定証の写し(IT点呼の場合)
  • 自動点呼届出書の写し(自動点呼の場合)

4. 予算の確保

  • 補助金は後払いが基本
  • 導入費用を一時的に自己負担する必要あり
  • リース契約の活用も検討

5. 運用体制の整備

  • 運行管理者への教育・訓練
  • 点呼実施マニュアルの作成
  • 機器のメンテナンス計画
  • データ管理・保管方法の確立

よくある失敗パターンと対策

失敗パターン 対策
❌ 認定機器でない製品を購入してしまった ✅ 必ず国土交通省の認定機器一覧と補助金対象機器一覧の両方を確認する
❌ 運輸支局への届出を忘れて自動点呼を開始した ✅ 機器使用予定日の10日前までに届出を提出(自動点呼の場合)
❌ 交付決定前に機器を発注してしまった ✅ 必ず交付決定通知を受け取ってから発注する
❌ IT点呼の要件を満たしていなかった ✅ Gマーク認定、営業所開設3年以上、3年間無事故を事前確認
❌ 補助金の申請期限を過ぎてしまった ✅ 各補助金の申請期間を確認し、余裕を持って申請する
❌ 実績報告書の提出を忘れた ✅ 導入完了後の報告期限を確認し、スケジュールを管理する

補助金活用の成功事例

【事例1】中小運送会社A社(営業所2拠点)

課題 早朝・深夜の点呼で運行管理者の負担が大きい
活用制度 自動点呼機器・DX導入促進助成事業
導入機器 業務前・業務後自動点呼機器 各1台
助成額 20万円(Gマーク保有)
効果 ・運行管理者の時間外労働30%削減
・点呼記録の自動保存で管理業務効率化
・ドライバーの健康状態を可視化

【事例2】中堅運送会社B社(営業所5拠点)

課題 複数営業所間での点呼管理が煩雑
活用制度 過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援
導入機器 遠隔点呼システム一式
補助額 80万円(導入費用160万円の1/2)※試算例
効果 ・拠点間の点呼が可能に
・運行管理者の配置効率化
・点呼データの一元管理実現

【事例3】大手運送会社C社(営業所15拠点)

課題 点呼システムと運行管理システムの統合
活用制度 IT導入補助金2025(通常枠)
導入システム 統合運行管理システム(点呼・配車・労務管理)
補助額 約150万円(導入費用300万円の1/2)※試算例
効果 ・全拠点の点呼データを一元管理
・配車業務との連携で効率化
・労務管理の自動化

※補助額は導入費用や条件により変動します。上記は参考試算例です。

2026年度に向けた戦略的スケジュール

2025年度後半(現在~2026年3月)

  • ✓ 自社の点呼業務の課題を分析
  • ✓ 各点呼制度の要件を確認
  • ✓ 対象機器・システムの比較検討
  • ✓ メーカー・販売店との相談
  • ✓ 導入効果のシミュレーション
  • ✓ 社内稟議・予算確保
  • ✓ Gマーク認定取得の検討(IT点呼の場合)

2026年4月~6月

  • ✓ 2026年度補助金情報の確認
  • ✓ 申請書類の準備
  • ✓ 見積書の取得
  • ✓ 運行管理者への事前教育

2026年7月~9月

  • ✓ 補助金申請(早期申請が重要)
  • ✓ 交付決定の通知を待つ
  • ✓ 運輸支局への届出準備(自動点呼の場合)

⚠️ 早期申請が極めて重要!

2025年度の過労運転防止支援は11月に予算上限到達により受付終了となりました。予算消化が早い傾向にあるため、2026年度も申請開始と同時の申請をおすすめします。

2026年10月~2027年2月

  • ✓ 機器発注・導入(交付決定後に発注
  • ✓ 運輸支局への届出(自動点呼:使用予定日の10日前まで)
  • ✓ 機器設置・セットアップ
  • ✓ 運用テスト・調整
  • ✓ 本格運用開始
  • ✓ 実績報告書の提出
  • ✓ 補助金の受領

重要な注意事項

補助金の重複受給について

  • 同一の機器・経費に対して、複数の国の補助金を重複して受け取ることはできません
  • 国の補助金と都道府県トラック協会の助成金の併用可否は、各協会により異なります
  • 申請前に必ず各制度の窓口に確認してください

自動点呼の届出について

  • 自動点呼を実施する場合、事前に管轄の運輸支局長への届出が必須です
  • 届出は機器使用予定日の10日前までに提出
  • 届出なしで自動点呼を実施した場合、補助金が受けられない可能性があります
  • 届出書には機器の詳細や使用計画を記載する必要があります

認定機器の確認方法

  • 国土交通省の認定機器一覧:国土交通省公式サイトで確認
  • 補助金対象機器一覧:各補助金の公式サイトで確認
  • 両方の一覧に掲載されている機器を選ぶことが重要

交付決定前の発注について

  • 原則:交付決定通知を受け取る前に発注・契約したものは補助対象外
  • 補助金が確実に受けられるまで、機器の発注は控えてください
  • 見積書の取得は交付決定前でも可能です

おわりに

点呼業務のデジタル化は、運行管理者の負担軽減だけでなく、安全性の向上・労務管理の効率化・人手不足対策にも大きく貢献します。2025年8月の業務前自動点呼解禁により、点呼のデジタル化はさらに加速しています。

手厚い補助金制度を活用すれば、導入費用の負担を大幅に軽減できます。2026年度の補助金公募が始まってから慌てるのではなく、今から計画的に準備を進めることが成功の鍵です。

特に自動点呼については、運輸支局への事前届出が必要であることを忘れずに、余裕を持ったスケジュールで進めてください。本記事が皆様の点呼システム導入と補助金活用の一助となれば幸いです。

※免責事項

本記事は2025年度の補助金情報を基に作成しています。2026年度の制度内容(補助率、補助額、申請期間、要件等)は変更される可能性があります。申請の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。

また、記事中の成功事例における補助額は参考試算例であり、実際の補助額は導入費用や各事業者の条件により異なります。

自動点呼を実施する場合は、必ず事前に管轄の運輸支局への届出を行ってください。